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Cal’s Trivia #02 / サイドウォーク・サーフィンからスケートボーディングへ

Cal’s Trivia #02 / サイドウォーク・サーフィンからスケートボーディングへ

What's up, everyone!

こんにちは、みなさん。Cal's Motorがお届けするトリビアの泉、ならぬ、カルチャーの沼へようこそ。カルチャーと言われてもいまいちピンとこないな~という方も、いつか抜け出せない魅力にはまって、私たちの仲間になってくれますように(笑)。

というわけで、第2回目のテーマはサーフィンとスケートボード(正しくはスケートボーディング)について。
かたや海、かたやストリートを舞台とするボードカルチャー。日本風に言えば横乗り文化だ。そんなワードからも想像できるように、どちらもボードの上に立って、横向きの姿勢で滑るという点は共通している。だから双方のことを詳しくは知らなくても、なんとなく親戚のような関係性であることはイメージ的に伝わると思う。ただし、それぞれには独自の文化、精神、スタイルがあり、今に至っているという点も付け加えておきたい。

じゃあ、結局のところサーフィンとスケートはどんな関係性にあるのか? そのルーツをざっくり解説するならば、こんな表現がしっくりくる。

「スケートボードというカルチャーは、もとはカリフォルニア(アメリカ)のサーファーたちが陸でもライディングを楽しめるように発展していくが、やがて、それぞれが独立したカルチャーとして歩むようになる」

その黎明期ともいえるのが1960年前後で、ストリートでスケートボードを楽しむ行為を「サイドウォーク・サーフィン」などと呼んでいた。サイドウォークとはすなわち歩道や道路のこと。つまり路上でサーフィンを楽しむ、という意味合いだ。

当時は乗り物自体もまだまだ未発達で、1950年代などはウィールも金属製だったり、ローラースケートの部品をクレイト(果物などを入れる蓋のない木箱)に付けたり、といった代物だったという。
一方、同時期にあたる1950~60年代のサーフィンはロングボードの全盛期。というか、ショートボードがまだ生まれる前の時代だ。ビーチボーイズをはじめとする音楽や『ギジェット』などサーフィン映画の影響も大きく、アメリカはサーフィンブームに沸き、ヴェルジーやホビー、ビングやゴードン&スミスなど、カリフォルニアを代表する名門ブランドがこぞって生まれた時代だった。

そんなサーフィンブームの後押しを受けるように、スケートボード(ギア)も1960年代にサーファー目線で発達していき、デッキがサーフボードのような形状となり、ウィールもクレイ(粘質のある素材)へと進化していった。
また、当時のスケートシーンをリードした『マカハ・スケートボード』が結成したスケートチームには、フィル・エドワースやマイク・ヒンソンなど当時もっとも輝いていたサーファーたちも加わっていた。その後、ホビーやゴードン&スミスなどのサーフブランドもオリジナルのスケートボードをリリースしたり、チームを結成するようになる。

このように、スケートボードの黎明期にはサーフィンの文化が色濃く関わっていたのだ。では、それぞれが独自の道を歩むようになったのはいつ頃か? それは今も伝説として語り継がれているドッグタウン& Zボーイズの存在が大きいだろう。

1970年代に入り、サーフィンはショートボードの時代へと移行し、アクションも挑む波もスタイルも、より激しくなっていった。音楽もロックの時代。カリフォルニア・ベニスのゼファー・サーフショップ(Zephyr)が結成したスケートチーム、通称Zボーイズのジェイ・アダムス、トニー・アルバ、ステイシー・ペラルタたちもやはり元々はサーファーで、サーフィンの動きを陸でも楽しもうと、ストリートに始まり、やがて水を抜いたプールに忍び込んでバーティカルなライディングを披露するようになり、メディアを通じて一世を風靡していくのだった。

そして、スケートボーディングがさらなる独自性を帯びるようになったもうひとつのきっかけは、1970年代後半にアラン・ゲルファンドによって“オーリー”というトリック(乗り手とスケートボードが手を使わずに一緒にジャンプする技)が生みだされたことだろう。これ以降、スケートボーディングのトリックは一気に三次元化し、多彩になるに従いサーフィンとは異なる発展を見せるようになっていった。

こうしてサーフィンとスケートボーディングは、お互いにいい距離感を保ちながら、それぞれ特色をもった独自のカルチャーとして今に至っているのだ。ちなみにサーフィン(Surfing)、スケート(Skate boarding)、スノー(Snow boarding)、3つのボードカルチャーの頭文字をとって「3S」と呼ぶこともある。折を見て、スノーボードとサーフィンの関係などもお話することにしよう。それはそれで濃いので長い話になりそうだ。 というわけで、今回はこれにて!

 

illust: © Hirockshow

参考文献: Blue. Magazine(vol.84)